婚礼も葬礼や誕生祝いと同様のとらえ方

2011.09.01

松明の火をまたがせたり、菅笠や箭をかぶせたりする風俗は、いずれも花嫁にかかっているケガレを霊的な力によって除去する呪いであり、これらが嫁入り行列の最終段階に行われている点が興味深い。花嫁にはケガレが付着しているとみた資料は、近藤直也『ケガレとしての花嫁』で集大成されている。とくに近藤は、花嫁が実家の娘としていったん死んで婚家の嫁として新たに誕生するという意味で、この世と異界を往来するという認識があるとしている。それは花嫁衣裳の白無垢、角隠し、綿帽子をかぶるという姿が、死装束や産着の白い着物と共通する点に示されている。とりわけ顔を覆う白布は、死者や赤子が陽光をさけるために用いているのであり、いわば生と死の境界を通過しているという点で、婚礼も葬礼や誕生祝いと同様のとらえ方がされているのである。