白色LEDをストロボとして発光させる

2011.07.07

アニメーションの要素ももちろんあるけど、映画やビデオとはまったく違う。人間の生理的な面、根源的な面に訴える新しい美的体験だと感じました」。そこから試行錯誤し、1985年、大学の卒業制作として結実した「時間層」は、大きな注目を集めることになった。「19世紀のメディアと、現代の技術や発想を合わせることで、より大型で、よりスペクタクルな体験をもたらすことができる。僕自身、その後に作家として生きていく自信をもつきっかけになりました」。連作として発展した「時間層」では、回転盤に照射する点滅光をどうっくるかがポイントだった。科学実験用のストロボスコープが使えると想像はついたものの、「完成した機器なので、人形を動かして見せる以上の発展性は見込めないと感じていました。ストロボの発光が目に痛く感じられる点もいやだった。たどり着いたのが、テレビのブラウン管をストロボ装置に使えるのではないかというアイデアです」。パソコンに向かい、白黒の画面を高速に切り替えるプログラムを自分で組み、その点滅する映像をブラウン管を通して回転盤にあてる実験を始めた。そこからはまた、発見と驚きの連続。テレビ画面は走査線によって描かれるため、画面の上部と下部では表示に時間差が生じ、その影響を考慮する必要があること。逆にこれを利用すると、点滅のタイミングを操作して盤面上の像をダブらせたり、違う色の像を出して重ねたりもできることがわかってきた。自作の音楽と、それに合わせて丹念に編集したストロボ映像のビデオテープを用い、さまざまな効果を演出した作品が前述の「時間層?」。以降、3管式のプロジェクターを用いる方式や、三鷹の森ジブリ美術館の展示用に2001年に完成させた発展形「トトロぴょんぴょん」では白色LEDをストロボとして発光させる方式を考案した。