サヴィルロウスタイルのファッション

2011.07.23

急死したロビンークックは典型的なサヴィルロウスタイルのファッションを好む政治家だった。外相時代、外国訪問ではネイヴィーとチャコールグレイ以外のスーツ姿を見たことがない。休日はガンクラブチェックで、スラントポケット(斜めに切られたポケット)のジャケット姿。ストロー現外相がチャールズ皇太子を意識してか前あわせがダブルのダブルブレストのスーツを愛用することが多いのに比べ、クックはほとんどダブルブレストのスーツを着たことがなかった。また、ストローが赤系のネクタイをよく締めるのに対して、クックは赤系のネクタイを締めることは極端に少なかった。このあたりにも、それぞれの政治家のスタンスが微妙に投影されていて興味深い。フレア政権が誕生した直後、サヴィルロウで取材していて、仕立職人にトニー・フレアのファッションについてどう思うか訊いたことがある。「マンデルソンのソフトなスーツよりは、よほど英国的な仕立だ。しかし、完璧に伝統的なサヴィルロウのスタイルというわけではない。むしろ若さを強調するような……たとえば襟のかたちなどは、ややモードの匂いがするものになっている」首相に就任して以来、集められるかぎりのトニー・フレアの写真を精査してみた。就任した当初はややフィッシュマウス気味たった襟がナチュラルになった以外、変化らしい変化は見られない。背の裾に左右2本のスリットが入ったサイドベンツの切れ込みの深さ、袖口の大きさ、ボタンやポケットの位置……にいたるまで、そのスタイルと仕立は一貫している。驚いたのはそれだけではない、彼がネイヴィー以外の色を着ていることがきわめて少ないことだ。チャコールグレイすら数えるほどで、とにかくネイヴィーのスーツばかりなのだ。前あわせがシングルであるシングルブレストの3つボタン、上2つを留める純3つと呼ばれるスタイル、サイドペンツ、そしてネイヴィーが彼のスタイルとなっている。

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