日本ではどうだろう。グローバル化を成し遂げたといわれるトヨタ、ホンダやキヤノンそれにソニーなどのインダストリー組は、早くから競争原理を導入し、生産地と販売地の接近を実行してきた。アメリカ・ハイオ州に一〇年ほど前にホンダ技研が設立した会社はれっきとしたアメリカ企業だし、数年前にフランス・バランシェンヌにトヨタ自動車がつくった会社も欧州法人だ。アメリカの先進的な経済学者たちが提唱する本当のグローバル化とは本来そういうもの。ところが実際、アメリカの基幹産業である自動車で、彼らがいわんとするグローバル化が遅れているのだから皮肉なものだ。相も変わらずデトロイトでこしらえたシボレーを日本で売ろうとしているのだから。ところで、売上高世界一を射程距離に収めている、「品質のトヨタ」のリコール件数が最近急上昇していると聞き、驚いているのは私だけではないだろう。たとえば二〇〇五年にリコールした乗用車の台数は国内の総販売数を超える一八〇万台だったそうで、二〇〇六年も九月までですでに一三〇万台に達しているそうだ。グローバル化、つまり世界中に生産拠点を広げ過ぎた結果、効率を極限まで高めながら最高水準の品質も維持できる。
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トヨタ看板方式・生産が、国や地域によってうまく機能しなくなってきたのだ。「世界のトヨタ」ですらそうなのだから、ソニーのPC電池から火が出ても、致し方のないことかもしれない。常勝してきた日本のワールドカンパニーが、ここにきてグローバリゼーションから少しずつほころびが露呈し始めているのではないだろうか。もちろん彼ら自身がいちばん危惧しているはずだから、ちゃんと手は打っているのだろうが。ファッションブランドに話を戻せば、上記の文脈でいうグローバル化は、必ずしも恩恵をもたらすとは限らないといえよう。たとえば八〇年代はライセンスの拡大がグローバル化の第一陣ととらえられていたかもしれないが、ロイヤリティー収入と引き換えにブランドイメージを落とす、というデメリットも経験した。